2017年1月19日木曜日

ADOC-Hの論文がacceptされました

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もと院生のOhnoです.

 院生時代の研究論文が多くの方のお力添えを受けて無事にBritish Journal of Occupational TherapyにAcceptの通知をいただきました.

Development of a tool to facilitate real life activity retraining in hand and arm therapy

Kanta Ohno, Kounosuke Tomori, Takashi Takebayashi, Tatsunori Sawada, Hirofumi Nagayama, William MM Levack, Kazuhisa Domen and Toshio Higashi


本報告は,麻痺を呈した上肢(麻痺手)の日常生活での使用を促進するためのiPadアプリーケションであるADOC for Hand(ADOC-H)の開発論文です.ADOC-Hは,ADOCと同様にイラストを提示することで,対象者が麻痺手の使用行動について具体的にイメージすることを促し,使用依存性の機能回復を図るアプリーケションツールです.

 作業療法士になってからアプリの開発に携わるとは思ってもいなかったため,開発のプロセスは試行錯誤の連続でした.本論文では,ADOC-Hに搭載するイラストの項目の妥当性について,コンセンサスメソッドの一種であるDelphi法を用いて検討を行いました.共著者でもある竹林先生をはじめとする先生方の臨床経験や思考過程をアプリに落とし込むために,国内外で用いられている上肢使用に関する評価法から項目を抜粋し,Webアンケートを実施して分析を重ねました.また,Delphi法で決定した全130種の項目をイラスト化した際に,それぞれのイラストが項目の動作内容を表現できているかに関する表面妥当性の検証や,アプリーケション開発の前段階として試作した紙面版のADOC-Hの臨床有用性についても検証しています.

 初めての英語論文執筆に苦戦し,随分と時間をかけてしまいました.Acceptの通知が来るまで,何種類もの雑誌に投稿をし続けました.その度に何回もrejectの通知を受けました.英語に限らず,論文投稿について経験の浅い僕にとって,身の丈に合わない挑戦なのかと諦めたくなったこともありました.心が折れそうになる度に,友利先生やNew ZealandのWilliamが的確なサポートをしてくれました.まだまだ発展途上ではありますが,多くの人の後押しを受けて論文という形で自分の努力を発信できたことは,自信にもつながりました.しかし,まだやっと開発論文ができただけですので,今後は臨床研究を通してADOC-Hの有用性を検証していき,作業療法に還元していきたいと思います.

 最後に,この場をお借りしてご協力いただいた全国の先生方に改めて感謝の意を伝えさせていただきたいと思います.



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